2007年 03月 22日
やっとこさできました |
本日二度目の更新となります。
第五話 危機の予感
話は再び地球に戻り――――
『機龍、しらさぎ二機共に、帰還しました。』
司令室に通信が入った。
「たいした被害も無かったな。上出来だ。」
尾形が言いうと、スピーカーから本条の声が聞こえてきた。
『あいつらぐらい余裕ですよ。何たって機龍はゴジラを倒すために作られたやつですから。』
『お前が自慢することじゃないだろう。』
神山の声が聞こえた。
『良いじゃんか、別に。』
神山が言った。
『あのなぁ、お前機龍の操縦は・・・』
ブツッ
通信が切られた。
「やれやれ。あいつら喧嘩ばかりしやがって。」
溜息交じりに尾形が言った。
「フフフ、ヒロもユウも昔から変わらないわ。」
祁答院が笑って呟いた。
しらさぎが降り立ったドックでは
「だから機龍の操縦は俺が操縦してるだろう。ったく。クモンガの次はバンゴウモリアの相手もしたんだぞ。」
神山が言った。
「あんなのただ馬鹿でかいクモとコウモリだろう。そんなので自慢できるか。それに操縦はお前だけでしてるんじゃねえ。」
本条が言った。
二人はまだ言い争いしていたのだ。
「全くいい加減にしろ。」
安部が言った。
「そうだ、黙れ。」
と本条。
「お前が黙れよ。」
と神山。
「相変わらずやな~二人とも。」
一人の男が歩いてきた。
「工藤さん、機龍の調子はどうですか?」
工藤は機龍を整備する整備士のうちの1人である。
「神山君。空中で機龍を切り離すとはまた無茶をしてくれたな~。おかげで今接続部分を点検中や。」
工藤がにこやかに言った。
「す、すいません。」
「ほら見ろ、お前がバカをやるからだ。」
本条が言った。
「だ、黙れユウ。」
「ま~た始まったわ。」
原田はそう言い先に歩いていった。
安部も溜息をついて原田の後に続いた
「やけど、装甲にもたいした傷はないし、数時間もあればバッチグーや。」
工藤が言った。
「ほら、たいした事は無いってよ。」
神山が言った。
「ふん!」
本条は休憩室へ歩いていった。
「ま、たまには整備する方の身にもなってや~。」
工藤は笑いながら言った。
「ええ、今度から気をつけます。」
神山が言った。
「ヒロ! ヒロー!」
神山を呼ぶ声が聞こえた。
神山が振り向くと、祁答院が神山の下へ歩いていた。
「なんだ、美樹か。」
「じゃ、ワテはお邪魔みたいやさかい、お暇しますわ。」
神山君のコレやろ。と工藤は小指を立てた。
「いえ、あの美樹はそんなんじゃなくて・・・」。
「ええって、ええって。隠さんでもええって。君も隅に置けへんな~。」
ほなな。と工藤は去っていった。
「あの、ただの幼馴染なんですけど・・・」
神山が去り行く工藤のうしろ姿に言った。
「なんだとは何よ。」
神山の傍へ来た祁答院が腕を組んで言った。
「いや、特に意味は無いけど。」
「もう、失礼ね。」
そこに本条が戻って来た。
「なんだ、美樹。来てたのか。」
本条が言った。
「ユウまでそんなこと言う。ホント失礼ね。」
祁答院がプリプリして言った。
「ハハハ、ゴメンゴメン。そう怒るな。」
神山が言った。
「しかし、ホントすげぇよな。」
本条が言った。
「その話はこれで10回目だ。」
神山が言った。
「それぐらい凄いって事だろ。なにせ孤児院にいた俺達がまたこうして同じ職場で働いてるんだからな。」
本条が言った。
「そうね、あたしとユウが養子として引き取られて3人ともバラバラになったのに。」
祁答院が言った。
「ま、それも当然じゃないのか。俺達は親を怪獣に殺されたんだ。ユウと美樹にとっては前の親になるかな。」
神山が言った。
「前の親といっても小さかったからあまり覚えてないわ。それに例え覚えていようと今の親が本当の親のようなもの。だけど、たしかにあたしみたいに親を失くすような子供たちが出ないためにもEDFに入ったのは確かね。」
祁答院が言った。
「俺は怪獣どもが憎い。だからEDFに入ったんだ。仇を討つために。」
本条が力を込めて言った。
EDFとは地球防衛軍(Earth Defense Force)の略称である。
「俺は・・・そうだな、何で入ったんだっけ?」
神山が言った。
そうだ。神山には何か目的があってEDFに入ったのだった。だが、何故か思い出すことができなかった。
「おい、なんだよそりゃ。忘れたのかよ。」
本条が言った。
「あ、もうこんな時間!あたしもう行くわ。じゃあね。」
祁答院が走っていった。
「さてと、俺達も行くか。休憩室。」
本条が言った。
「ユウ、さっきも行ってたじゃないか。」
「ハッ。何の目標も無しにここにいるお前に言われたかねえよ。」
「五月蝿いよ。」
本条の言葉に神山が毅然と言った。
休憩室に行ってみると、そこでは安部がテレビを見ていた。
「丁度今からEDFのお偉いさんの話だ。」
「何なんですか、話って。」
本条が言った。
「見てりゃわかる。」
『・・・1954年、世界で初めて怪獣の襲撃がこの日本でありました。その怪獣の名はゴジラ。最初の1体は名も無き一人の科学者の発明品によって倒されました。しかし、翌年に2体目が発見され、幾度と無く日本を壊滅の危機に落としいれました。度重なるゴジラに対抗する為にGフォースが設立されました。しかし、ゴジラにつられるように次々と怪獣の襲撃がおこるようになり、次第に世界中でも怪獣が現れはじめ、宇宙からも侵略の魔の手が伸びてきました。それに伴い、世界中が国境も民族も越えて一丸となって地球を脅かす脅威から身を守るために発足したのが、地球防衛軍、通称EDFです。EDFは・・・』
「メーサー車とかの技術と生産方法は日本しか持ってなかったから今でこそ無償だがEDF設立前は大儲けだったそうだぜ。」
本条が言った。
「ああ、今や世界でトップクラスの経済大国だしな。」
神山が言った。
「そいつのおかげで多量な債務に苦しんでいた財政がチャラになったんだ。皮肉なものだな。結果的に怪獣に救われてるんだからな。」
安部が言った。
「しかし宇宙から来たのが侵略者ばかりじゃないでしょう。」
本条が言った。
「ああ、ウルトラマン達は我々を何度も救ってくれた。」
安部が言った。
「僕は直接的に見たことは無いんですけどね。」
神山が言った。
「そりゃそうだろう。彼らが最後に地球に来たのが26年前だからな。お前達はまだ産まれていない。」
安部が言った。
「安部隊長。そういえばゴジラとウルトラマンが戦ったことはあるんですか?」
神山が言った。
「いや、彼らがゴジラと戦ったことはないんだ。」
「なんでですか?」
「さあな。彼らがいるあいだゴジラが現れなかったんだ。」
「ゴジラがいないってどういうことですか?」
「ゴジラは1954年に初めて姿を現した。その時の個体は謎の兵器によって倒されている。だが、翌年の1955年に新たな固体が出現、その時も氷山に埋めて撃退できたんだが、7年後にまた復活し、それから数十年に渡って人々を恐怖のどん底に突き落としてきた。それだけじゃない、他の怪獣達も襲撃するようになった。怪獣達の中にはゴジラと交戦した奴もいたが、ことごとくゴジラに敗れ去った。ゴジラは怪獣の中でも別格の強さだってことだな。それでも人類は諦めることなく様々な手段を講じてついに小笠原諸島にゴジラや他の怪獣を監視下に置けるようにした。怪獣ランドと呼ばれてたかな。」
「へ~それは凄いですね。でも何で今はないんですか?」
「それはな、結局ゴジラが本気で出て行こうとすると簡単に逃げられたし、挙句の果てにそこを宇宙人に狙われてゴジラを含む怪獣達を利用されたんだ。宇宙人、たしかキラアク星人とか言ったな。そいつらは怪獣達を操って世界の主要都市を襲わせたんだ。すんでのところでキラアク星人を撃退した。それから怪獣を一所に集めて置くのは危険という事になり、怪獣ランドは廃止になった。たしか1975年だ。」
「そんなことがあったんですか。全然知りませんでした。」
本条が感心していった。
「で、それからゴジラは現れなかった。人々がゴジラは死んだんだと安心し始めたとき、再びゴジラは現れた。さらに強大になってな。それが1984年の事だ。」
「ああ、それなら知ってます。それからゴジラの習性を利用して三原山火口に落とすことに成功したんですよね。でも1979年にある事故でゴジラがまたしても復活。」
「そうだ。が、その時も抗核エネルギーバクテリアという兵器を使用してなんとか追い返すことに成功した。しかし1992年、またしてもゴジラは復活することになる。その年、隕石が地球に落下。その落下地点が運悪く坑核エネルギーバクテリアによって活動停止中のゴジラが眠っている地点だった。」
「その時はたしかゴジラはモスラに撃退されたんですよね。たしかゴジラを撃退できた怪獣はモスラだけでしたよね。」
神山が言った。
「ああ、モスラは人類の味方をすることが多い。」
「なんで坑核エネルギーバクテリアを使わなかったんです?」
本条が言った。
「坑核エネルギーバクテリアの開発者が殺害されたからだ。資料は一切残っていなかったから作れなかった。おそらく戦争の兵器として使われることを恐れたんだろう。なんたってゴジラを眠りに着かせるほどの代物だからな。」
「それはそうですね。」
本条が言った。
「そのして同年の終わり頃、再び脅威となったゴジラに対抗するため国連はG対策センターとGフォースを設立した。」
安部は話を続けた。
「そして
『・・・そして4年前、我々はとうとうゴジラの撃退に成功したのです。その後ゴジラの・・・』
「機龍だろ機龍。」
本条が言った。
「ああ、当時の機龍のパイロットは家城さんが操縦していた。だが、その時に直接機龍に搭乗して操縦、その時の激しい衝撃のせいで無理はできなくなってしまったそうだ。普通の生活に支障はないそうだが。」
安部が言った。
「茜さんですよね。僕も会った事があります。」
神山が言った。
「でも撃退しただけで倒したわけではないんだろう。機龍だって腕と最終兵器のアブソリュート・ゼロを破壊されてる。つい最近やっと修復が終わったばかりじゃないか。」
本条が言った。
「バカ野郎。お前それまでゴジラに退散させるほどのダメージを与えられる兵器はほとんど無かったんだぞ。」
神山が言った。
「でも以前にもゴジラを模したロボット作ってゴジラを退けたことあるじゃないか。」
と本条
「メカゴジラと機龍じゃ性能が違うだろ。メカゴジラは宇宙人の残した宇宙船や兵器などから解明できた一部の技術を利用して創ったものだが、機龍はさらに解明が進んだ宇宙人の技術と現代の最新技術の総結集だぞ。それにメカゴジラは結局ゴジラに破壊されたじゃないか。」
「まあどうでもいいんだけどな。」
「ユウ、お前が言い始めたんだろ。」
「でも、あれからゴジラはどうなってんだろうな。」
本条が言った。
「今はレーダーの届かない深海にいるんじゃないかって話だ。太平洋のどこかだと思われてる。」
安部が言った。
「このまま出てこなきゃいいんだが・・・。」
「そうですね。」
神山が言った。
「そんなことになったら機龍が用無しになるじゃないですか。」
本条が言った。
「それが一番いいだろう。あんなのが必要無い世界が一番良いんだ。」
安部が言った。
「お、何か乱入してきた。」
テレビから人の叫び声が聞こえてきた。
『気をつけろ!!警戒するんだ!!危険が迫っている!!この地球に!』
「なんだコイツ。」
「さあ、あ!取り押さえられた。あ~あ、連れてかれた。」
何事もなかったかのように話しは続けられた。
『え~、どこまで話しましたかな?あぁそうそう・・・』
「さて、帰るか。」
その後怪獣が現れることは無く、神山と本条は就寝室へ行くことにした。
2人が就寝所に向かっていると、廊下に人影が見えてきた。
「あ、美樹じゃないか。」
本条が言った。
「あら、今から帰るの?」
祁答院が言った。
「帰るっていっても基地内の就寝所だけどな。」
と本条。
祁答院は、じゃあおやすみ。と向かおうとした2人を呼び止めた。
「ねえヒロ、ユウ、知ってる?世界中の観測所である信号を受信したんだって。」
「どういう信号?」
神山が祁答院に訊いた。
「まだ解読中だからよく解らないの。」
「なんだろうな。」
本条がのほほんと言った。
「それと、これがその信号を受信した時刻。」
祁答院は紙を取り出し、二人に渡した。
「この時間って言ったら・・・」
本条が言いうと神山が言った。
「ああ、クモンガが暴れ始めた時間だ。もしかして、コレを感じ取ったからか?」
「じゃあ、あのデカコウモリも、それを感じて暴れてたのか?」
と本条
「バンコウモリアだ。それだけじゃない。ここ最近怪獣達が再び頻出し始めたのも、何か感じ取っていたのかもしれない。」
神山が言った。
「その信号の発信源はM78星雲かららしいの。」
祁答院が真剣な顔になって言った。
「M78星雲って言ったら・・・」
神山が言った。
「そう、ウルトラ兄弟達の故郷があると言われている所よ。」
「じゃあ、そのウルトラマン達に何かあって、それで警戒信号か何かを送ってきたって事か?」
神山が言った。
「まだそこまでは解らないわ。でもその可能性もあるかも。」
祁答院がそう言った直後、はっとしたように神山が言った。
「そういやユウ、さっき見てたテレビに乱入してきた男覚えてるか?」
「そんなのいちいち覚えてねえよ。」
「あたしも見てたわ、たしか危険が迫ってるとか・・・あ!!」
祁答院も気付いた。
「もしかしたら、あの男の人なら何か知っているかもしれない。」
祁答院が言った。
「何者なんだ?宇宙人か?よし、話聴きに行こう。」
本条が言った。
「今は無理。もう夜よ。明日、その人に会って話を聴きましょう。」
祁答院が言った。
「明日怪獣が出なければの話だけどな。」
本条がぽつりと呟いた。
「よし、そうと決まれば、さっさと寝よう。」
本条が言った。
神山と本条と祁答院はそれぞれ自分の就寝所へと向かっていった。
「ユウと一緒の部屋だったよな。」
「何を今更。」
二人とも床に就いた。
布団に入っても神山は考えていた。
もし、M78星雲からの信号なら、とてもマズイことが起きそうな気がした。
良い内容であるはずが無い。
地球にも何かが起こるかもしれない。
そんなことを考えているうちにいつしか眠りに入っていた。
第五話 危機の予感 終
あとがき的なもの
すいません。もう僕の完全な技量不足です。
説明臭い。恐ろしく説明臭い(汗)
説明臭いというか説明だ(爆)
まあ兎に角こういう世界観のお話なんですよという事です。
更なる説明ウルトラマンとゴジラの世界観を一緒にしたんで、ちょこちょこっと時の流れを変えて、「ゴジラVSキングギドラ」のことは無かった事にしてます。
アレがあるといろいろ厄介なんで。
それから一部ウルトラ史でも違うところがありますが、まあいずれ説明する機会もあることでしょう。
実はまだ考えてない
何気にバンコウモリアってオリジナル怪獣です。まあ名前のまんまコウモリの怪獣ですね。
見た目は考えてないんでご想像にお任せします。
一応データは考えてあります。
体長約20メートル 翼長約50メートル 体重約6千トン
口から超振動波を出して生物を動けなくして、その隙に襲って食べる怪獣です。
超振動波ってのは超音波の一部だと考えてください(実在はしないはずです)。
ちなみに建物を破壊するほど威力はありません。
大抵複数で行動します。あとコウモリなんで日が落ちてから行動します。
昼に活動するコウモリもいますが・・・
次回、はたして謎の男の正体とは?
うすうす判るでしょうが、あえて心の中にとどめて置いてください。
おねげぇしましす!
3月23日追記
大事なこと書き忘れてました。
誤字脱字、その他ご意見ご感想などありましたらコメントの方にお願いします。
というか読んでくださったお方は是非感想をお聞かせください。
なおこの物語はフィクションであり実在する人物、団体、事件とは一切関係ありません。
嘘っぱちです。
まあフィクション云々のことは当然のなんですけど一応書いておきたいんです。
僕が。
第五話 危機の予感
話は再び地球に戻り――――
『機龍、しらさぎ二機共に、帰還しました。』
司令室に通信が入った。
「たいした被害も無かったな。上出来だ。」
尾形が言いうと、スピーカーから本条の声が聞こえてきた。
『あいつらぐらい余裕ですよ。何たって機龍はゴジラを倒すために作られたやつですから。』
『お前が自慢することじゃないだろう。』
神山の声が聞こえた。
『良いじゃんか、別に。』
神山が言った。
『あのなぁ、お前機龍の操縦は・・・』
ブツッ
通信が切られた。
「やれやれ。あいつら喧嘩ばかりしやがって。」
溜息交じりに尾形が言った。
「フフフ、ヒロもユウも昔から変わらないわ。」
祁答院が笑って呟いた。
しらさぎが降り立ったドックでは
「だから機龍の操縦は俺が操縦してるだろう。ったく。クモンガの次はバンゴウモリアの相手もしたんだぞ。」
神山が言った。
「あんなのただ馬鹿でかいクモとコウモリだろう。そんなので自慢できるか。それに操縦はお前だけでしてるんじゃねえ。」
本条が言った。
二人はまだ言い争いしていたのだ。
「全くいい加減にしろ。」
安部が言った。
「そうだ、黙れ。」
と本条。
「お前が黙れよ。」
と神山。
「相変わらずやな~二人とも。」
一人の男が歩いてきた。
「工藤さん、機龍の調子はどうですか?」
工藤は機龍を整備する整備士のうちの1人である。
「神山君。空中で機龍を切り離すとはまた無茶をしてくれたな~。おかげで今接続部分を点検中や。」
工藤がにこやかに言った。
「す、すいません。」
「ほら見ろ、お前がバカをやるからだ。」
本条が言った。
「だ、黙れユウ。」
「ま~た始まったわ。」
原田はそう言い先に歩いていった。
安部も溜息をついて原田の後に続いた
「やけど、装甲にもたいした傷はないし、数時間もあればバッチグーや。」
工藤が言った。
「ほら、たいした事は無いってよ。」
神山が言った。
「ふん!」
本条は休憩室へ歩いていった。
「ま、たまには整備する方の身にもなってや~。」
工藤は笑いながら言った。
「ええ、今度から気をつけます。」
神山が言った。
「ヒロ! ヒロー!」
神山を呼ぶ声が聞こえた。
神山が振り向くと、祁答院が神山の下へ歩いていた。
「なんだ、美樹か。」
「じゃ、ワテはお邪魔みたいやさかい、お暇しますわ。」
神山君のコレやろ。と工藤は小指を立てた。
「いえ、あの美樹はそんなんじゃなくて・・・」。
「ええって、ええって。隠さんでもええって。君も隅に置けへんな~。」
ほなな。と工藤は去っていった。
「あの、ただの幼馴染なんですけど・・・」
神山が去り行く工藤のうしろ姿に言った。
「なんだとは何よ。」
神山の傍へ来た祁答院が腕を組んで言った。
「いや、特に意味は無いけど。」
「もう、失礼ね。」
そこに本条が戻って来た。
「なんだ、美樹。来てたのか。」
本条が言った。
「ユウまでそんなこと言う。ホント失礼ね。」
祁答院がプリプリして言った。
「ハハハ、ゴメンゴメン。そう怒るな。」
神山が言った。
「しかし、ホントすげぇよな。」
本条が言った。
「その話はこれで10回目だ。」
神山が言った。
「それぐらい凄いって事だろ。なにせ孤児院にいた俺達がまたこうして同じ職場で働いてるんだからな。」
本条が言った。
「そうね、あたしとユウが養子として引き取られて3人ともバラバラになったのに。」
祁答院が言った。
「ま、それも当然じゃないのか。俺達は親を怪獣に殺されたんだ。ユウと美樹にとっては前の親になるかな。」
神山が言った。
「前の親といっても小さかったからあまり覚えてないわ。それに例え覚えていようと今の親が本当の親のようなもの。だけど、たしかにあたしみたいに親を失くすような子供たちが出ないためにもEDFに入ったのは確かね。」
祁答院が言った。
「俺は怪獣どもが憎い。だからEDFに入ったんだ。仇を討つために。」
本条が力を込めて言った。
EDFとは地球防衛軍(Earth Defense Force)の略称である。
「俺は・・・そうだな、何で入ったんだっけ?」
神山が言った。
そうだ。神山には何か目的があってEDFに入ったのだった。だが、何故か思い出すことができなかった。
「おい、なんだよそりゃ。忘れたのかよ。」
本条が言った。
「あ、もうこんな時間!あたしもう行くわ。じゃあね。」
祁答院が走っていった。
「さてと、俺達も行くか。休憩室。」
本条が言った。
「ユウ、さっきも行ってたじゃないか。」
「ハッ。何の目標も無しにここにいるお前に言われたかねえよ。」
「五月蝿いよ。」
本条の言葉に神山が毅然と言った。
休憩室に行ってみると、そこでは安部がテレビを見ていた。
「丁度今からEDFのお偉いさんの話だ。」
「何なんですか、話って。」
本条が言った。
「見てりゃわかる。」
『・・・1954年、世界で初めて怪獣の襲撃がこの日本でありました。その怪獣の名はゴジラ。最初の1体は名も無き一人の科学者の発明品によって倒されました。しかし、翌年に2体目が発見され、幾度と無く日本を壊滅の危機に落としいれました。度重なるゴジラに対抗する為にGフォースが設立されました。しかし、ゴジラにつられるように次々と怪獣の襲撃がおこるようになり、次第に世界中でも怪獣が現れはじめ、宇宙からも侵略の魔の手が伸びてきました。それに伴い、世界中が国境も民族も越えて一丸となって地球を脅かす脅威から身を守るために発足したのが、地球防衛軍、通称EDFです。EDFは・・・』
「メーサー車とかの技術と生産方法は日本しか持ってなかったから今でこそ無償だがEDF設立前は大儲けだったそうだぜ。」
本条が言った。
「ああ、今や世界でトップクラスの経済大国だしな。」
神山が言った。
「そいつのおかげで多量な債務に苦しんでいた財政がチャラになったんだ。皮肉なものだな。結果的に怪獣に救われてるんだからな。」
安部が言った。
「しかし宇宙から来たのが侵略者ばかりじゃないでしょう。」
本条が言った。
「ああ、ウルトラマン達は我々を何度も救ってくれた。」
安部が言った。
「僕は直接的に見たことは無いんですけどね。」
神山が言った。
「そりゃそうだろう。彼らが最後に地球に来たのが26年前だからな。お前達はまだ産まれていない。」
安部が言った。
「安部隊長。そういえばゴジラとウルトラマンが戦ったことはあるんですか?」
神山が言った。
「いや、彼らがゴジラと戦ったことはないんだ。」
「なんでですか?」
「さあな。彼らがいるあいだゴジラが現れなかったんだ。」
「ゴジラがいないってどういうことですか?」
「ゴジラは1954年に初めて姿を現した。その時の個体は謎の兵器によって倒されている。だが、翌年の1955年に新たな固体が出現、その時も氷山に埋めて撃退できたんだが、7年後にまた復活し、それから数十年に渡って人々を恐怖のどん底に突き落としてきた。それだけじゃない、他の怪獣達も襲撃するようになった。怪獣達の中にはゴジラと交戦した奴もいたが、ことごとくゴジラに敗れ去った。ゴジラは怪獣の中でも別格の強さだってことだな。それでも人類は諦めることなく様々な手段を講じてついに小笠原諸島にゴジラや他の怪獣を監視下に置けるようにした。怪獣ランドと呼ばれてたかな。」
「へ~それは凄いですね。でも何で今はないんですか?」
「それはな、結局ゴジラが本気で出て行こうとすると簡単に逃げられたし、挙句の果てにそこを宇宙人に狙われてゴジラを含む怪獣達を利用されたんだ。宇宙人、たしかキラアク星人とか言ったな。そいつらは怪獣達を操って世界の主要都市を襲わせたんだ。すんでのところでキラアク星人を撃退した。それから怪獣を一所に集めて置くのは危険という事になり、怪獣ランドは廃止になった。たしか1975年だ。」
「そんなことがあったんですか。全然知りませんでした。」
本条が感心していった。
「で、それからゴジラは現れなかった。人々がゴジラは死んだんだと安心し始めたとき、再びゴジラは現れた。さらに強大になってな。それが1984年の事だ。」
「ああ、それなら知ってます。それからゴジラの習性を利用して三原山火口に落とすことに成功したんですよね。でも1979年にある事故でゴジラがまたしても復活。」
「そうだ。が、その時も抗核エネルギーバクテリアという兵器を使用してなんとか追い返すことに成功した。しかし1992年、またしてもゴジラは復活することになる。その年、隕石が地球に落下。その落下地点が運悪く坑核エネルギーバクテリアによって活動停止中のゴジラが眠っている地点だった。」
「その時はたしかゴジラはモスラに撃退されたんですよね。たしかゴジラを撃退できた怪獣はモスラだけでしたよね。」
神山が言った。
「ああ、モスラは人類の味方をすることが多い。」
「なんで坑核エネルギーバクテリアを使わなかったんです?」
本条が言った。
「坑核エネルギーバクテリアの開発者が殺害されたからだ。資料は一切残っていなかったから作れなかった。おそらく戦争の兵器として使われることを恐れたんだろう。なんたってゴジラを眠りに着かせるほどの代物だからな。」
「それはそうですね。」
本条が言った。
「そのして同年の終わり頃、再び脅威となったゴジラに対抗するため国連はG対策センターとGフォースを設立した。」
安部は話を続けた。
「そして
『・・・そして4年前、我々はとうとうゴジラの撃退に成功したのです。その後ゴジラの・・・』
「機龍だろ機龍。」
本条が言った。
「ああ、当時の機龍のパイロットは家城さんが操縦していた。だが、その時に直接機龍に搭乗して操縦、その時の激しい衝撃のせいで無理はできなくなってしまったそうだ。普通の生活に支障はないそうだが。」
安部が言った。
「茜さんですよね。僕も会った事があります。」
神山が言った。
「でも撃退しただけで倒したわけではないんだろう。機龍だって腕と最終兵器のアブソリュート・ゼロを破壊されてる。つい最近やっと修復が終わったばかりじゃないか。」
本条が言った。
「バカ野郎。お前それまでゴジラに退散させるほどのダメージを与えられる兵器はほとんど無かったんだぞ。」
神山が言った。
「でも以前にもゴジラを模したロボット作ってゴジラを退けたことあるじゃないか。」
と本条
「メカゴジラと機龍じゃ性能が違うだろ。メカゴジラは宇宙人の残した宇宙船や兵器などから解明できた一部の技術を利用して創ったものだが、機龍はさらに解明が進んだ宇宙人の技術と現代の最新技術の総結集だぞ。それにメカゴジラは結局ゴジラに破壊されたじゃないか。」
「まあどうでもいいんだけどな。」
「ユウ、お前が言い始めたんだろ。」
「でも、あれからゴジラはどうなってんだろうな。」
本条が言った。
「今はレーダーの届かない深海にいるんじゃないかって話だ。太平洋のどこかだと思われてる。」
安部が言った。
「このまま出てこなきゃいいんだが・・・。」
「そうですね。」
神山が言った。
「そんなことになったら機龍が用無しになるじゃないですか。」
本条が言った。
「それが一番いいだろう。あんなのが必要無い世界が一番良いんだ。」
安部が言った。
「お、何か乱入してきた。」
テレビから人の叫び声が聞こえてきた。
『気をつけろ!!警戒するんだ!!危険が迫っている!!この地球に!』
「なんだコイツ。」
「さあ、あ!取り押さえられた。あ~あ、連れてかれた。」
何事もなかったかのように話しは続けられた。
『え~、どこまで話しましたかな?あぁそうそう・・・』
「さて、帰るか。」
その後怪獣が現れることは無く、神山と本条は就寝室へ行くことにした。
2人が就寝所に向かっていると、廊下に人影が見えてきた。
「あ、美樹じゃないか。」
本条が言った。
「あら、今から帰るの?」
祁答院が言った。
「帰るっていっても基地内の就寝所だけどな。」
と本条。
祁答院は、じゃあおやすみ。と向かおうとした2人を呼び止めた。
「ねえヒロ、ユウ、知ってる?世界中の観測所である信号を受信したんだって。」
「どういう信号?」
神山が祁答院に訊いた。
「まだ解読中だからよく解らないの。」
「なんだろうな。」
本条がのほほんと言った。
「それと、これがその信号を受信した時刻。」
祁答院は紙を取り出し、二人に渡した。
「この時間って言ったら・・・」
本条が言いうと神山が言った。
「ああ、クモンガが暴れ始めた時間だ。もしかして、コレを感じ取ったからか?」
「じゃあ、あのデカコウモリも、それを感じて暴れてたのか?」
と本条
「バンコウモリアだ。それだけじゃない。ここ最近怪獣達が再び頻出し始めたのも、何か感じ取っていたのかもしれない。」
神山が言った。
「その信号の発信源はM78星雲かららしいの。」
祁答院が真剣な顔になって言った。
「M78星雲って言ったら・・・」
神山が言った。
「そう、ウルトラ兄弟達の故郷があると言われている所よ。」
「じゃあ、そのウルトラマン達に何かあって、それで警戒信号か何かを送ってきたって事か?」
神山が言った。
「まだそこまでは解らないわ。でもその可能性もあるかも。」
祁答院がそう言った直後、はっとしたように神山が言った。
「そういやユウ、さっき見てたテレビに乱入してきた男覚えてるか?」
「そんなのいちいち覚えてねえよ。」
「あたしも見てたわ、たしか危険が迫ってるとか・・・あ!!」
祁答院も気付いた。
「もしかしたら、あの男の人なら何か知っているかもしれない。」
祁答院が言った。
「何者なんだ?宇宙人か?よし、話聴きに行こう。」
本条が言った。
「今は無理。もう夜よ。明日、その人に会って話を聴きましょう。」
祁答院が言った。
「明日怪獣が出なければの話だけどな。」
本条がぽつりと呟いた。
「よし、そうと決まれば、さっさと寝よう。」
本条が言った。
神山と本条と祁答院はそれぞれ自分の就寝所へと向かっていった。
「ユウと一緒の部屋だったよな。」
「何を今更。」
二人とも床に就いた。
布団に入っても神山は考えていた。
もし、M78星雲からの信号なら、とてもマズイことが起きそうな気がした。
良い内容であるはずが無い。
地球にも何かが起こるかもしれない。
そんなことを考えているうちにいつしか眠りに入っていた。
第五話 危機の予感 終
すいません。もう僕の完全な技量不足です。
説明臭い。恐ろしく説明臭い(汗)
説明臭いというか説明だ(爆)
まあ兎に角こういう世界観のお話なんですよという事です。
更なる説明ウルトラマンとゴジラの世界観を一緒にしたんで、ちょこちょこっと時の流れを変えて、「ゴジラVSキングギドラ」のことは無かった事にしてます。
アレがあるといろいろ厄介なんで。
それから一部ウルトラ史でも違うところがありますが、まあいずれ説明する機会もあることでしょう。
何気にバンコウモリアってオリジナル怪獣です。まあ名前のまんまコウモリの怪獣ですね。
見た目は考えてないんでご想像にお任せします。
一応データは考えてあります。
体長約20メートル 翼長約50メートル 体重約6千トン
口から超振動波を出して生物を動けなくして、その隙に襲って食べる怪獣です。
超振動波ってのは超音波の一部だと考えてください(実在はしないはずです)。
ちなみに建物を破壊するほど威力はありません。
大抵複数で行動します。あとコウモリなんで日が落ちてから行動します。
昼に活動するコウモリもいますが・・・
次回、はたして謎の男の正体とは?
うすうす判るでしょうが、あえて心の中にとどめて置いてください。
おねげぇしましす!
3月23日追記
大事なこと書き忘れてました。
誤字脱字、その他ご意見ご感想などありましたらコメントの方にお願いします。
というか読んでくださったお方は是非感想をお聞かせください。
なおこの物語はフィクションであり実在する人物、団体、事件とは一切関係ありません。
嘘っぱちです。
まあフィクション云々のことは当然のなんですけど一応書いておきたいんです。
僕が。
by mymasuku
| 2007-03-22 23:14
| 二次創作っぽいの